利用例

横浜市立大学

利用例1 ヘパリン不純物のNMR分析法

2008年頃、ヘパリンに混入した不純物によるアナフィラキシー様症状が米国で多数報告されました。その際、本学保有の各種NMR装置の利用によって、この不純物のシグナルと同じ位置に観測されるシグナルが不純物でなくヘパリン由来であることを確認し、このような純度検定に対するNMR装置の有効性が確認されました。また共同検定の結果、日本薬局方にヘパリンのNMR試験法が収載されました。

(参考)YAKUGAKU ZASSHI速報128(10) 1513-1515(2008)

「ヘパリン不純物のNMR分析法」:山口秀幸、品川麻衣、榛葉信久、宮野博、鈴木榮一郎

図:様々な共鳴周波数のNMR装置で測定したヘパリンのアセチル基由来の1Hシグナル

利用例2 天然物からの機能性成分探索

様々な農作物の抽出物について各種生理活性試験に基づいた機能性成分の精製を行い、NMRを用いて構造決定を行うことで有責な機能性有機化合物を見出すことを目指しました。その結果、パッションフルーツの種から強力な血管弛緩性物質であるスキルプシンB(ピセタノール二量体)を抽出し、NMRを用いて同定することに成功しました。このピセタノールとスキルプシンBは血管弛緩性効果が強いことから、循環器疾患に対して効果があると期待されます。

(参考)S. Sano, K. Sugiyama, T. Ito, Y. Katano, and A. Ishihata. Identification of the strong Vasorelaxing substance scirpusin B, a dimer of piceatannol, from passion fruit (Passiflora edulis) seeds. ; J Agric. Food. Chem., 59(11):6209-13(2011)

図:スチルベン誘導体の化学構造;

  • Peak1:ピセタノール
  • Peak2:スキルプシンB(ピセタノール2量体)
  • Peak3:レスベラトロール

ページトップへ