東京大学
利用例1 15N直接観測法によるバイオ医薬アナログの解析
概要
東京大学大学院薬学系研究科に設置されている800 MHz TXOクライオプローブにより15N CRINEPT直接観測法(N-CRINEPT法)によるバイオ医薬アナログmAbの製剤条件・保存温度での解析が可能となりました。
詳細
N-CRINEPT法はmAbの高次構造情報を、製剤条件・低温保存温度で、非破壊的に取得できる独自のNMR測定技術です。抗体医薬の高機能化や溶液条件の最適化などの活用が期待されるとともに、NMR法により解析可能なタンパク質の分子量上限を引き上げることが可能で、様々なタンパク質への応用が期待されます。(Tokunaga et al., J. Med. Chem., 2020)
利用例2 動的構造解析による隠れた創薬標的サイトの活用
概要
NMR法により動的な創薬作用点の発見と活用が可能です。多くの魅力的な創薬標的を含むにもかかわらず、リガンドの探索が困難なPPI標的の中に、動的な創薬作用点:クリプトサイトを発見し、活用する技術を確立しました。
詳細
NMR技術により、PPI阻害剤の標的となるタンパク質Bcl-xLに、リガンドが結合していない状態でも、僅かな割合ではあるもののクリプトサイトが開いた構造が存在することを見出しました。また、同定したクリプトサイトをリガンドなしでも安定に開かせるアロステリック変異体を構築することで、ヒット探索を効率化することにも成功しています。このことは、NMR法を用いた構造平衡の制御が、構造創薬の推進において極めて重要であることを示しています。(Mizukoshi et al., Sci Adv, 2020)