利用例

理化学研究所

利用例1 NMRによるクモ糸の構造研究

概要

NMRにより得られた結果は、クモ糸タンパク質の溶解性と自己集合に対するイオンの機能的役割を示しており、優れた機械的特性を有する人工クモ糸繊維の調製を促進するためのプロセスの理解が深まりました

詳細
ヘパリンは血液透析時の血液凝固の防止や血栓塞栓クモの糸は、その優れた機械的特性から、高機能バイオマテリアルとして知られています。可溶性のクモ糸タンパク質(スピドロイン)は、紡糸前に高濃度で貯蔵され、クモ糸のpHとイオン勾配を通過した後、不溶性の繊維に変化します(図1a)。本研究では、カオトロピックイオンを添加すると、イオン濃度の上昇に伴い、組み換え反復ドメイン15-merのNMRスペクトルのシグナル強度が増加することが示されました(図2a)。一方、紡糸口金に多く含まれる強酸性イオンは、グリシンに富んだ領域、特にシルク繊維のターン構造を形成するSQGTSGRG領域での水素結合を促進しました(図2b)。これらの知見は、クモ糸タンパク質の溶解性と自己集合に対するイオンの機能的役割を示しており、優れた機械的特性を有する人工クモ糸繊維の調製を促進するためのプロセスの理解を深めるものです(Oktaviani, N.A et al, Chem.Commun, 2019)。

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